電子書籍は今や広く普及し、TRPGの関連書籍も数が増えてきた。しかしながら、少なくとも私の知る範囲ではTRPGにおいての主流はまだまだ物理書籍であるように思う。それぞれに長所と短所があり、筆者はどちらにも世話になっている。
手に取れる物理書籍と違い、電子書籍はなんとなく敷居を感じてしまって体験する機会がない。そんな人向けに、物理ルルブと比較した電子版ルルブの特徴や使用感を、筆者の目を通してお伝えしたい。
環境
はじめに、筆者の環境を以下にまとめる。他のサービス等においては仕様が異なる場合がある。
・電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」にて下記アプリから購入
・アプリ「BN Reader」にてAndroidのスマホから閲覧
特徴
長所
- 重量
重く嵩張ってしまう物理ルルブと違い、電子ルルブは持ち運びに優れている。オフラインセッション時に多くの荷物を持ち込む必要がない。
普段不意にデータを確認したくなったときにも便利だ。
- 劣化しない
ボロボロになったりページが破れたり、といったことがない。可読性が失われない。
- 最新版への更新
エラッタや誤植などが修正された際、書籍を最新版に更新することができる。
- 閉じたページから再開
最後に読んでいたページを書籍ごとに記録しており、次回開いた際にそのページが表示される。複数の書籍を行ったり来たりと参照する際に便利。
- しおり機能
よく参照するページにはしおりを設定できる。名付けることができ、リスト形式で表示される。
- 目次/索引リンク機能
書籍によっては、目次や索引からワンタップでリンクされたページに飛ぶことができる。設定されていない書籍の場合、シークバーで移動する。
- 語句検索機能
kindleにはあるらしい。BOOK☆WALKERにはないっぽい。
指定した語句について書籍内で検索をかけ、記述のあるページに飛ぶことができる便利機能。
ただし、書籍によっては文字データが残っておらず、使用できないものがある模様*1。
- データ共有性
スクリーンショットを活用することで、見やすいデータを素早く同卓メンバーに共有できる。
もちろん、把握できる特定少数のもとに行うこと。卓後は送信/保存したデータを削除するようにしよう。購入機会の喪失は好ましくない。
- 稀少品とは無縁
絶版で手に入りにくい書籍*2も、いつでも定価で確実に購入できる。
- 即読める
気になった作品はその場で買うことができる。DLしながら読めたりする。
- セール/ポイント
レーベルなどにもよるが、わりと頻繁にポイント大幅還元セール*3があったりする。ポイントは普通にお得。
短所
- 見開きに弱い
ページが見開きになっている場合、片方のページしか縦画面に表示しておけない。
デバイスを横にすると見開きを表示してくれるが、拡大率は小さい。横に広いディスプレイなら対応できるか。
- 電源依存性
デバイスが使えない場合、当然電子書籍は参照できない。長時間使用する場合は充電できる環境が必要。
- 容量が必要
物理的重量はないが、デバイスのストレージはいくらか必要となる。なお書籍はオフラインで読み込めるため、通信はDL時のみで良い。
- 非物理性
コピー機を用いて書籍掲載の空白キャラシを印刷する、といったことができない*4。また、本に直接メモを書き込んだり付箋を貼ったり、という使い方をしたい人には不向き。
そして、本は実物あってこそという気持ちもとても分かる。ポリシーがあるなら迷わず物理書籍を買おう。
- 非対応書籍
個人的には一番の弱み。あらゆる書籍が電子化されているわけではない。目当てのものがなくても泣かないこと。
電子化の対応状況については、出版社やレーベル、作品の展開規模などに依る。1シリーズの書籍が歯抜けで電子化していることはあまりなく、対応している作品の場合はだいたい全部揃っていたりする。F.E.A.R.やグループSNEの作品は比較的電子書籍化しているようだ。
また、一般人気作品でもなければ電子書籍化には時間がかかる。新作は物理書籍の方が早く手に入る。
需要や要望が高まれば解決するかもしれない。
- 中古市場はない
当然、古本を安く買ったり、使わなくなった書籍を売ったりすることはできない。
- 使用感が合わない場合がある
目が疲れる、感覚が合わないなど。文字が小さい場合は拡大縮小できるが、手間といえば手間。こればっかりは実際に触ってみないと分からない。
総括
敷居の高さはあれど、電子版ルルブは手軽さ、機能性の面で秀でていると感じる。一方、電子版だけでは揃わない書籍がある点は否めない。
紙媒体が主役を降りることは(しばらくは)ないだろう。一方で、電子書籍の方が向いている人やシーンは少なくない。
電子書籍をなんとなくで敬遠している人は、一度試してみて損はないと思う。どちらか一方に拘る必要はないのである。
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