ぱんどらさんのおもちゃばこ

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旧 シノビガミ│【操り人形】について

この記事は改訂版ルルブ発売以前に書かれたものである。現行ルールに明確に反しているものを含め、当時とは状況が変わってしまっているものがある。注意してほしい。


全忍法中でも最高レベルに異質な効果を、最高レベルに厳しい使用条件とともに持つ、ある意味では比良坂の代名詞的な忍法。
何ができるのか?何ができないのか?何をやらかすのか?
考察してみよう。

なお、以下の内容は私の解釈・思考にすぎない。実際に卓に持ち出す前に、あらゆる意味で適切かどうかを判断願いたい。議論なら大歓迎だ。

概要
対象が手番を迎えたタイミングで使用し、対象のそのラウンドの行動を使用者が決定できるらしい。忍具や【奥義】を使用させることはできない。
ただし対象が受けたダメージは使用者が肩代わりすることになる。また、コスト5かつ判定が必要、対象から使用者への【感情】が必要と、使用条件が厳しい。こんなもの持ってたら誰もシーンに出てくれないぞ!なんでこんなのサンプルキャラに持たせたんですか?

行動とは?
「行動」というのは、どこからどこまでを指していると見るべきだろうか。

  • 手番に本来自発的に行う行動

読み取れる範囲で一番安全な裁定をするとすれば、ここに限るべきだろう。使用タイミングから考えて、製作の意図は主にここにある。
「攻撃の処理」、もとい攻撃忍法や攻撃の代わりに使用できるサポート忍法の使用はまず可能だろう。同様に、手番中に使用する各種忍法も問題ないはずだ。攻撃に限るのならそう書くだろう。
効果がラウンド終了時まで持続するからには、プロット値の変化などにより対象が再度手番を得た場合も使用者がコントロールを得るはずだ。

しかしここまで限定すると、例えば回避は認められなくなる。効果中対象は回避しない方が得であり*1、そのコントロールがどちらにあるのかによって有利不利が大きく変わる。製作の意図を汲むからこそ、ここは意図するところであるとは言い難いと思う。

  • PCの行動か、PLの権限か

「行動」に回避を含めると、「行動」と見なせる幅は一気に広くなる。
しかし、例えば攻撃忍法を使わせるとして、その命中判定のダイスロールまでもをPLが代行することはしないだろう。あくまで対象のPCを操っているのであり、PLが持つ選択や行動を支配する忍法ではない。
であれば、その「行動」はPCによるものなのか、PLの持つ権限なのかを考慮すべきだろう。シノビガミのルルブの記述に厳密性を求めるのも考えものだが、この基準での判断はある程度の常識的な制限をかけることができる。例えば、「奥義破り」はキャラクター毎の任意行動であることからコントロール可能な行動であるとし、「死亡」は記述上明確にPLの権限であることから強制不可とする。

個人的には、ここらへんを落とし所と考えている*2。以降この記事ではこれを基準に話を進めるが、当然私の考えに過ぎない。

  • 制限なし

もしあらゆる選択を「行動」に含める場合、セッションは地獄絵図と化しかねない*3
・「死亡」
・「背景」効果(「双子」「魔人」など)
・感情修正
・「回想シーン」
・《遁走術》による特殊な回避判定(による戦闘脱落)
・「ひらめき」 [大判139]による功績点浪費
といったことの強制が可能となる。お前は何と戦っているんだ。
なお、自発的な戦闘脱落のタイミングはラウンド終了時である。【操り人形】の効果時間はそのラウンド中であるから、これによる強制脱落は不可能なはずだ。

実用
ボーダーをどこにおくにしても、決まりさえすれば非常に強力な効果であることには違いない。対立型なら戦力バランスを破壊し、相手に味方がいなくとも手番を無駄にさせられる。【奥義】や忍具を使用させられないことは一見制限だが、逆にいえば相手はそのラウンドの間それらを使用できないのだ。
そして、ダメージを受けることと【生命力】が減少することはイコールではない。ダメージを受けた結果【生命力】が減ることがあるというだけである。つまり攻撃【奥義】などによる直接的な【生命力】減少は対象にそのまま通り、ダメージと違って使用者が肩代わりすることはない。
少々特殊な使い方として、味方に使う手もある。対象は【奥義】や忍具を使えなくなるが、ダメージコントロールに利用できる。シノビガミでは数の有利は非常に大きいため、状況によっては一考に値するだろう。

ただし、なんといっても使用条件と使用リスクが重い。【操り人形】を主体にするなら、ここらへんをどうにかする必要がある。要素ごとに見ていこう。

  • 【感情】が必要

最大の壁。相手から自分に対する【感情】が必要なのだが、感情判定を行うには実質的に相手の同意が必要だ。キャラシを見て【操り人形】を確認した上でシーンに出るのは、なかなかの胆力である。
強制的に【感情】を向ける手段としては、【呼び声】【慈拳】【昼顔】【盗人萩】「戦果」などが挙げられる。どれも一筋縄ではいかない。

【追加忍法】に隠しておくことで、そもそも【操り人形】の存在を知られないようにするという手もある。【精密機動】の【教導】に成功すれば、相手の【生命力】を0にするコンボの完成だ。ただし有名なコンボということもあり、特に意味も無さげな【精密機動】があれば警戒されてしまうだろう。
【学園の七不思議】にしても同様だ。隠しているという事実こそ、隠したいものがあることを裏付ける証拠である。

  • コスト

全忍法中2番目に高いコストが設定されており、その値は5である。これを使うラウンドでは、他にコストのある忍法を使うことは考えにくい。

  • 判定

プロット5以上で判定する。手練れの忍達は、それだけで心穏やかでないだろう。
判定が必要なのは当然といえば当然なのだが、嫌なものは嫌なのだ。【操り人形】の場合は特に安定させたいが、ここのケアの自由度はあまり高くない。

禁忌
「退魔編」限定だが、【真蛇】から【夜雀】を修得すると凶悪だ。【操り人形】に失敗しないということは、相手の手番などないようなものだ。1on1なら、ほとんどの相手を【伸ばし】た【範囲攻撃】で完封できるだろう。

また、変調「催眠」を受けたキャラクターは、【生命力】の減少、または戦闘脱落のいずれかを選ばなければならない。上の裁定と照らし合わせて読むなら、この選択もPCの「行動」と見なすこともできそうだ。もちろん、PL権限と裁定するのが平和だろう。

関連


(C)河嶋陶一朗冒険企画局「忍術バトルRPG シノビガミ

*1:判定の放棄がルールで保障されていないことはさておいて。

*2:ただし、シノビガミのルルブはPCとPLの混同が多い。結局のところある程度の判断は必要だ。

*3:仮に可能としたところで実行されるような卓にはそもそも居たくないが。