ぱんどらさんのおもちゃばこ

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DX3rd│「奇跡の血」について

DロイスNo.27「奇跡の血」。エフェクトを組み合わせた際、その侵食値の合計を下げるという珍しい効果を持つ。
しかし珍しいといっても、「侵食率に余裕を持たせる」という大きな括りで見ると、一気にありふれてしまう。しかも、効果を発動する条件がそこそこ厳しい。
他と比較した際、特別にこいつが輝くタイミングとはどのようなときだろうか?考察してみよう。

概要
トライブリード専用。自身の持つ各シンドロームから1つ以上のエフェクトを組み合わせて使用したとき、その侵食値の合計を-4する(最低1)。なお、《融合》などによって3種類以上のシンドロームのエフェクトを組み合わせた場合でも、自分の各シンドロームに属するエフェクトでない場合は効果を発揮しない。
侵食値を下げる効果は珍しく、その中でも効果が比較的大きく、かつ何度でも適用可能である。

扱いにくいポイント
とはいえやはり、広い視野で見たときのパワー不足と、その扱いにくさは否めない。難点を挙げてみる。

  • 発動条件と効果

3種混合というのは、狙わなければまず満たせない条件だ。諸々を考えると、初期作成で複数種のコンボに適用するのは少々厳しい。そしてその価値も薄くなってくる。なぜなら、節約した分を活用するアテがないのならば、無理をして消費を抑える意味がないからだ。
さらにDX3rdでは、継戦能力を伸ばすよりも短期決戦を仕掛けた方が、結果的に侵食率も抑えやすい。トライブリードの燃費の悪さをカバーするよりも、ピュアブリードで派手に暴れた方が得であることが多いのだ。

  • 適用回数

セッションを通して効果を適用する回数はある程度見えてくる。攻撃のためのコンボなら、多くて4回だろう。この場合、4×4=16の侵食率抑制が期待できることになる。また、マイナーやセットアップのコンボをメジャー以上の回数使用することはあまり考えられない。

  • 「侵食率に余裕を持たせる効果」として捉える

燃費向上。珍しい効果といっても、その行き着く先は「継戦能力の向上」ないし「バックトラックの易化」である。こう考えると、効率で他に勝つことが厳しくなってくる。
そして、「侵食率上昇がゆるやかになる効果」と「単にバックトラックが易化する効果」であれば、後者に魅力を感じる人が多いだろう。侵食率によるボーナスと、「制限:●%」のエフェクトの存在があるからだ。ちなみに前者には《リザレクト》の使用猶予が伸びるというメリットがある。
ともあれ、「経験点に余裕がなく、継戦能力の向上にDロイスを割く」場合、バックトラックのダイスを増やす「生還者」や、119%まで帰還可能となる「悪夢」を積んだ方が、分かりやすく得なことが多いのだ。

  • Dロイスであるということ

忘れてはならないのが、メモリーの存在だ。経験点15点につき侵食率を10減少させるという破格の効率を持ち、かつ複数設定できる。
これにより、燃費への干渉はDロイスの専売特許ではなくなってしまった。Dロイスは他で補えない貴重な効果を持つリソースとして運用できるが、その限られた枠を使わずとも代替が利くのであれば、そちらに流れるのが普通だ。
つまり「経験点に余裕があるため、継戦能力の向上にDロイスを割く必要がない」場合、メモリーを積んだ方が良い場合が多い。

長所とシナジー
散々こき下ろした気がするが、その特異性に目を向ければ、他に代替できない長所も見えてくる。相性の良いデータと共に見ていこう。

  • 使用回数制限がない

適用条件さえ満たしてしまえば、何度でも効果を発揮する。もしも条件を満たすコンボを何度も使うことができるなら、踏み倒す侵食率は底知れない。
合計侵食5のコンボを侵食1で使える。これはすごいことだ。使用機会の数を考えなければ、同じコストで5倍使うことができるのだから。
このDロイスの利用価値は、適用されるコンボの使用回数に左右される。機会を用意するためには、タイミングの多いアクション(イニシアチブ、リアクション、オート、戦闘外)でコンボを組む、単純に複数のタイミングでコンボを組む、といったところだろう。
RWステージなどの超高経験点のセッションで大量のエフェクトを持っている場合、条件を満たすコンボを数多く持っている可能性がある。こうなれば、燃費向上の点で他の追随を許さない。

  • 「Rバランサー」「CランクⅠ」

それぞれ、選んだエフェクトの侵食値を-1する効果がある。
使用回数が極端に多い場合、低下した侵食値合計が1と2では大きな違いがある。節約コンボの質を高めることができるだろう。

  • 《赤色の従者》

こちらも特異な効果を持っていながら色々と扱いにくいものの代表格だが、その問題のひとつに燃費が挙げられる。召喚や維持のみならず、従者の数だけ1ラウンドのメインプロセスが増えることが侵食率の増加に繋がるのだ。
Dロイスの効果は従者にも適用されるため、「奇跡の血」の適用回数に直結する。その効果も《赤色の従者》の問題を和らげるものであるから、非常に相性が良いと言えるだろう。また、《赤色の従者》自体に適用するコンボを組むのもアリかもしれない。

  • 適用条件が近い効果

「混沌なる者の槍」や「古王の大剣」は、複数(シンドローム)のエフェクトを組み合わせることが条件の効果があり、同時に運用すればかかるリソースを節約できる。

総評
単純な運用であれば、他に効率で勝つことは難しい。また、侵食の節約は必要に駆られてするものであり、その効果の発動自体を目的にして採用する意味はあまりない。

  • 何度でも適用できる
  • コンボの侵食値自体に干渉する
  • 効率はコンボの使用回数が大きく影響する

といった特徴から、コンボの乱発に向いている。ただし、DX3rdではそう何度もコンボを使用しないのだが。

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