ぱんどらさんのおもちゃばこ

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DX3rd│《物質合成》について

2つの武器または防具を合体させるという無二の効果を持つ《物質合成》。しかし、とんでもなく融通の利かないエフェクトであり、扱いが難しいのも事実だ。
その特徴を細かく分析し、活用法や可能性を模索していこう。

概要
所持している<技能>が同じ武器や防具から2つを選んで破壊することで、各能力や効果を合計したアイテムを作り出すことができる、モルフェウスのエフェクトだ。EA p.86に記載、同p.15に補足説明が載っている。
攻撃力やガード値、装甲を単純に足し合わせたパワーの高いアイテムを作ることができるが、命中やドッジ、行動値への負の補正も同じく加算される。特殊効果についても、プラスマイナス問わずまとめて付与される。なお、射程は短い方に固定される。

扱いにくいポイント
面白い効果を持っているが、扱いにくさもまた特徴のひとつだ。難点を挙げてみる。

  • タイミング:メジャーアクション

強い武器を作って攻撃力強化!と思いきや、これを使うためには肝心な攻撃のためのタイミングを消費する必要がある。DX3rdにおいて1ラウンドはとても大きいため、そんなことをしている暇があったら殴った方が基本的に得なのだ。
また、「技能:-」であり、組み合わせられるエフェクトの幅も広くない。

  • 使用制限

「制限:100%」なので、ミドルで使うことは考えにくいだろう。また、トライブリードでは基本的に使用できない。
さらに、1シーンに1回の回数制限がある。「対象:自身」の持続効果ということもあり、複数回使用することは考えにくい。
...と思っていたのだが、1つの武器に重ねていく場合に限り「効果の重複」ルールについてはどうやら問題ないらしい。同名のエフェクトの効果が同じ対象に適用された場合は重複せず、どちらを適用するのかを選ぶ、というルールだ。なんだか怪しいが、1回目の《物質合成》で得た武器を2回目の《物質合成》の素材にし、そのまま2回目を適用するという動きが考えられる。そのために貴重な回数回復を積むのも気の引ける話ではあるが。

  • 持続性

素材となったアイテムは破壊され、入手したアイテムもそのシーンの終了時までしか持続しない。《リミットブレイク》などによりあらかじめ合成しておく、ということもできないのである。

  • アイテムの調達

当然ではあるが、使用するアイテムを準備しておかなければならない。しかし、それもタダではないのである。あまり特徴のない安物を揃えても意味が薄く、それならば高価格・高性能なアイテムを単体で使った方が良い場合が多い。

  • より扱いやすいエフェクトの存在

ただ武器の攻撃力を足し合わせた攻撃をしたいだけであれば、ノイマンの《マルチウェポン》の方が圧倒的に取り回しやすい。《ヴァリアブルウェポン》の存在もあり、こちらに吸われることも多いだろう。
ブラックドッグの《ポルターガイスト》もまた、近い立場にある。あちらは「タイミング:マイナーアクション」であり、さらに攻撃力以外を考慮しない。マイナスを踏み倒せるため、普通に使うならこちらの方が扱いやすいだろう。
そして、工夫なく単に攻撃力を上げたいだけであれば、高係数の攻撃力増加エフェクトを取った方がはるかに無難なのである。

相性の良い組み合わせ
扱いにくさや互換性を考慮すると、無二の強みを活かさない限りは他のエフェクトを使った方が効率が良いことがわかる。しかしDX3rdのデータプールは実に多彩であり、《物質合成》ならではの強みを活かせるものもいくらかある。

オーバーロード》はオルクスの80%制限エフェクト、《デトネイトモード》はモルフェウスの破壊のアージエフェクトである。どちらも武器の攻撃力を実質2倍にして計算する効果を持つ。《物質合成》では攻撃力の高い武器を作れるため、この恩恵を大きく受けることができる。
なお、併用してもタイミングの問題で武器の攻撃力は3倍にしかならない。また、使用したメインプロセスの終了時に武器は破壊される。

  • 《水晶の剣》

武器の攻撃力をシーン継続で増加させる、モルフェウスのエフェクト。素材の武器の双方に使用しておけば、実質係数4の火力エフェクトである。
また、他に武器を使用するキャラクターがいれば、残りの1回を使ってあげると無駄がない。実質係数6である。
「タイミング:メジャーアクション」「技能:-」であるが、効果の記載により《物質合成》時に組み合わせて使用することはできない。悪しからず。

  • 《セレリティ》

ピュア専用Dロイス「申し子」専用という、取得条件の厳しいエフェクト。メジャータイミングで使用し、メジャーアクションを2回増やすという珍しい効果を持つ。
なんと、「タイミング:メジャーアクション」かつ「技能:-」、おまけに「難易度:自動成功」のエフェクトなのだ。つまり《物質合成》と組み合わせて使うことができ、タイムロスを無くすどころか2回攻撃にすることができる。インチキ。

  • 「エピック」

常備化しているアイテム1つの破壊を1回免れる。合成の素材にしたはずのアイテムがなぜか残っていることになる。なぜだ。まぁなんにせよ、アイテムの強化複製が可能となる。
《物質合成》は元のアイテムの効果を引き継ぐ。つまり、Dロイス装備やエンブレムアイテムといった、1つしか常備化できないが他にない効果を持つアイテムを選択することで、その効果を複製してオリジナルと共に使うことができるのだ。すごそう。
これによって「蛇王の外套」などを複製すると、セッション中にエフェクトを取得することができるという話を教えてもらった。なんだそれは...

  • 防具や盾の合成

武器に使う場合、攻撃を強化するというのに攻撃タイミングを失うというジレンマを抱えることになる。
対して、防具に使うことでそこから目を背けることができる。苦手を受け入れ諦めて、得意なことに特化する生き方も悪くない。
防具を実質2つ装備する手段は、実は《物質合成》の他にないのだ。ここに武器のガード値やヴィークルの装甲を加え、鉄壁を誇るのもいいだろう。
また、同じ要領でガード値の高い武器を作ることも考えられる。こちらについては、ノイマンの《八重垣》で近いことができる。併用して三枚盾も面白いかもしれない。

  • 《ダブルクリエイト》「鏡のイデア

同じエフェクト作成武器同士で合成可能になる。
なお、《物質合成》はアイテムを「取得」する記述となっており、「作成」とは書かれていないため、「鏡のイデア」の対象にはならないとするのが普通だろう。残念。

  • 使用制限つき効果のあるアイテム

素材にしたアイテムの効果は全て引き継がれる。使用回数制限についても同様であり、さらに同じスケールなら少ない方に固定されるという解説がある。例えば、「シナリオ3回」と「シーン1回」を合成すればその両方を守らなければならなくなるし、「シーン3回」と「シーン1回」の合成ならば「シーン1回」に固定されてしまう。
しかしそれは、「そのアイテムの」回数制限だ。《物質合成》によって手にいれたアイテムの使用回数は、オリジナルとは別カウントである。ただし、使用回数が残り0回となったアイテムは《物質合成》に使用できないという裁定がなされている(公式FAQ)。注意が必要だ。なお「パワーアシストアーマー」は一度装備すると再び装備できなくなるが、これは使用回数制限ではないため合成可能。
また「装備している間、他の武器を装備できない」効果のある武器も、合成してしまうことで実質同時に使用できる。《物質合成》以外にも言えることだが、デメリットを被せることは効率に繋がることが多い。

総括
少々癖が強すぎる《物質合成》は、単に使うのであれば他のエフェクトに効率で遅れをとることが多い。
その真価を十全に発揮するためには、その特異性をうまく利用する必要があるだろう。

  • 素材となるアイテムの特性を引き継ぐ
  • 1つの武器に集約する
  • 防具を合成したり、ガード値を目的にしたりできる
  • 「エピック」で素材の複製が可能

このあたりをどう活かすかを考えることが、効率的に《物質合成》を使う近道かもしれない。

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